身のまわりの物理現象
入射角
光が空気と鏡やガラス、水との境界面にぶつかるとき、境界面に垂直な直線と入射する光との角度のこと。入射角と反射角は等しくなる。
反射角
光が空気と鏡やガラス、水との境界面にぶつかるとき、境界面に垂直な直線と反射する光との角度のこと。
光が鏡にあたるときのほか、水やガラスに入射するときも一部は屈折して水やガラスの内部に進み、一部は反射する。光の反射では入射角と反射角の大きさは等しい。
光の屈折
光が種類の違う物質にななめに入るとき、一部は反射し、一部は境界面で折れ曲がって内部に進む、これを屈折という。境界面に対して垂直に入射するときは屈折せずまっすぐ進む。
光が空気からガラス(または水)に入るときは入射角より屈折角が小さくなるように屈折し、ガラス(または水)から空気に進むときは入射角より屈折角が大きくなる。
屈折角
境界面に垂直な直線と屈折した光との角度のこと。
光が空気中からガラス(または水)に入射するときは入射角>屈折角となり、ガラス(または水)から空気中へ出るときは入射角<屈折角となる。
全反射
光がガラス(または水中)から空気中に出ていくときは、屈折角のほうが入射角より大きい。
そのため、入射角がある角度以上になると屈折角が90°を超えてしまい、出ていけなくなる。すると光がすべて境界面で反射してしまう。これを全反射という。
限界となる入射角は物質によって違う。(水から空気中に出て行くときは約48.6°)
光ファイバー・・・全反射の仕組みを使って電話線などに利用されている。
凸レンズ
中央が膨らんでいるレンズを凸レンズという。凸レンズに正面から太陽光のような平行な光をあてると光は屈折して1点にあつまる。 この点を焦点という。レンズの中心から焦点までの距離が焦点距離である。
焦点はレンズの両側、等距離に2つあり、凸レンズのふくらみが大きいほど焦点距離は短くなる。また、レンズの中心を通る光は直進する。
凸レンズの中央を通り、レンズの面に垂直な直線を光軸という。
焦点
凸レンズの光軸に平行な光を当てた時に光が集まる点。凸レンズの中心から焦点までの距離を焦点距離という。凸レンズの両側にあり焦点距離は同じである。
実像
光が集まってスクリーンなどに写って見える倒立の像(上下左右が逆)を実像という。
凸レンズによる実像は物体が焦点の外側にある場合にできる。
焦点距離の2倍の位置に物体を置くと反対側の焦点距離の2倍の位置に物体と同じ大きさの実像ができる。それよりも遠い位置に物体を置くとと実像の大きさは小さくなりレンズからスクリーンまでの位置も近くなる。
例・・・カメラ
虚像
実際に光は集まらずに見える像のこと。凸レンズでは焦点より内側に物体を置くと実像ができないかわり、レンズを通して虚像がみえる。 このときの虚像は物体より大きい正立の像である。 植物の観察などで、ルーペを通して拡大して見ているのが虚像である。
その他の例では鏡に写った像、水の中で屈折して見える像などが虚像である。
音
物体が振動することで音が発生する。音を発生しているものを音源、または発音体という。この振動が波として空気などを伝わって耳に届く。音の波は空気以外にも水や金属などいろいろな物質を伝わる。振動する物質がない真空では音は伝わらない。
音の速さ・・・空気中で約340m/秒、水中で約1500m/秒
波
物体が振動するとその振動が空気を振動させ、それが次々と伝わっていく。このように振動がつぎつぎと伝わっていく現象を波という。波は伝わる物質によって速さが異なる。
例・・・音、地震波、電磁波
振幅
振動の振れ幅のこと。音の場合振幅が大きいほど大きな音になる。
例・・・ギターの弦を強く弾くと振幅が大きくなるので大きな音が出る。
振動数
1秒間に振動する回数。単位はHz(ヘルツ)。音の場合、振動数が多いほど高い音になる。
例・・・ギターなどの弦では細いと高い音、短いと高い音、強く張ると高い音が出る。
力
力の単位はN(ニュートン)、100gの物体にはたらく重力が約1Nである。力には大きさ、向き、作用点の3つの要素(力の三要素)がある、そのため力を表すには矢印を用いる。
物体に力がはたらいた場合、物体を変形させたり、支えたり、運動を変化させたりするはたらきがある。
力の種類・・・弾性の力、重力、垂直抗力(抗力)、摩擦力(まさつ力)、磁石の力、電気の力など
力の三要素
力には大きさ、向き、作用点(力のはたらく点)の3つの要素がある。
そのため力を表すには矢印を用いる。矢印の長さで力の大きさを、矢印の始点が作用点を表し、そして矢印の向きが力の向きを表す。
力のはたらき
物体に力がはたらく場合、次の3つのはたらきがある。
物体を変形させる。・・・バネが伸びたり、ボールが凹んだりする。
物体を支える。・・・机の上に置いてあるものは机によって支えられている。
物体の動きを変える。・・・動いている物体の速さを変えたり、方向を変えたりする。
弾性の力
変形した物体がもとにもどろうとする力を弾性の力(弾性力)という。ばねやゴムなど。垂直抗力(抗力)も机や床がわずかに変形してそれがもとに戻ろうとすることによる弾性の力である。→フックの法則
フックの法則
ばねなどの弾性体と力に関する法則。ばねののびはばねを引く力の大きさに比例する。
例・・・1Nの力で2cm伸びるバネは2Nの力で4cm伸びる。
重力
地球や月がその中心に向かって物体を引く力。重力の大きさを重さという。力なので単位はN(ニュートン)である。
重力はすべてのものにはたらいており、離れていてもはたらく力である。重力をはかるにはばねばかりを用いる。地球と月では重力の大きさが異なるので、月面上での重さは地球上での重さの6分の1になる。
重力は離れてはたらく力なので作用点は物体の中心(重心)になる。
質量と重さは区別しなければならない。地球上で質量100gの物体にかかる重力が約1Nである。
垂直抗力(抗力)
水平な床や机の上に物体を置いたとき、その面が上向きに物体を押して物体を支える力のこと。
机や床がわずかに変形することによる弾性の力である。
水平な床や机の上に置いた物体が静止しているのは重力と垂直抗力がつりあっているからである。
摩擦力(まさつ力)
物体どうしが触れ合う面ではたらく。物体が動こうとする方向の反対向きの力。
摩擦のある面で物体を押しても物体が静止しているときは物体を押す力と摩擦力がつりあっており、このときのまさつ力を静止まさつ力という。
また、摩擦のある面で物体を滑らせた場合、運動と逆の方向にまさつ力が働くこのときのまさつ力を動まさつ力という。
質量
物体そのものの量のことを質量といい、単位はgやkgである。質量をはかるには上皿てんびんをもちいる。
質量が大きいほどその物体にかかる重力(重さ)は大きくなるが、質量と重さ(重力)は区別しなければならない。重力と違い質量は月面上でも地球上でも変化しない。地球上では質量100gの物体にかかる重力は約1Nである。
圧力
単位面積に垂直にはたらく力の大きさを圧力という。
具体的には面積1m2に垂直に1Nの力が加わっていれば圧力は1Pa(パスカル)または1N/m2(ニュートン毎平方メートル)である。力の大きさが同じなら面積が小さいほど圧力は大きくなる。
圧力(Pa)=力の大きさ(N)力のはたらく面積(m2)
大気圧(気圧)
空気の重さによる圧力のこと。空気は非常に軽いが重さがある、地球は厚い空気の層(大気)でおおわれており、地表では頭上にある大気の重さが非常に大きくなる。海面上で受ける大気圧は1気圧(約1013hPa)である。
頭上にある空気の重さが大気圧なので、上空ほど低くなる。気体はどの方向にも動くので、気圧はあらゆる向きで同じ大きさになる。
※1hPa・・・100Pa
水圧
水中ではたらく、水の重さによる圧力が水圧である。
水深が深いほど大きくなる。液体はどの方向にも動けるので、あらゆる向きに同じ大きさにはたらく。
浮力
水中にある物質に対して上向きにはたらく力。
水中部分の体積が大きいほど浮力は大きくなる。物体にはたらく重力より浮力のほうが大きいと物体は水に浮く。水の密度は1g/cm3なのでそれより密度の小さい物質は水に浮く。
浮力は水深が深くても浅くても変わらない。