化学変化
原子
物質を構成する最小の粒。19世紀はじめドルトンが提唱した。
化学変化でそれ以上わけることができない。化学変化によって種類が変わったり、なくなったり、新しくできたりしない。種類によって質量や大きさがきまっている。約100種類ある。
原子を表す記号を元素記号という。
→原子の構造
分子
いくつかの原子が結びついた粒で、物質の性質を表す最小の粒。
19世紀にアボガドロが提唱した。
物質には、酸素などのように原子がいくつか結びついて分子になりその分子が集まって物質になるものと、金属のように原子が直接結びついているたま分子がないものとがある。
化学変化
物質を構成する原子の組み合わせが変わり、物質が他の物質に変わる変化。化学反応ともいう。
化合や分解、還元、酸化などはすべて化学変化の一種である。
化学変化を化学式を用いて表したのが化学反応式である。
分解
1種類の物質が2種類以上の別の物質に分かれる化学変化。
熱を加えて分解するのが熱分解、電流を流して分解するのが電気分解である。
例・・・酸化銀の熱分解、炭酸水素ナトリウムの熱分解、水の電気分解
化合
2種類以上の物質が結びついて別の物質ができる化学変化。
化合してできた物質を化合物という。
例・・・鉄と硫黄の化合、銅と酸素の化合(酸化)など
単体
1種類の原子でできている物質。
例・・・酸素(O2)、水素(H2)、鉄(Fe)、炭素(C)
化合物
2種類以上の原子からできている物質
例・・・水(H2O)、硫化鉄(FeS)、二酸化炭素(CO
元素記号
原子を表す記号。
アルファベット1文字の大文字または大文字と小文字の2文字で表す。
例・・・Fe(鉄)、H(水素)、O(酸素)、C(炭素)、Ag(銀)
化学式
物質を元素記号を用いて表した式。
分子のある物質では化学式が1つの分子を表している。また、分子のない単体は元素記号と同じになる。
例・・・Fe(鉄)、H2(水素)、H2O(水)、FeS(硫化鉄)、Ag2O(酸化銀)
化学反応式
化学変化を化学式を用いて表した式。
矢印(→)で左辺と右辺に分かれており、左辺に反応前の物質を、右辺に反応後の物質を書く。化学反応式では左辺と右辺の原子の数を等しくしなければならない。
例・・・2H2O → 2H2 + O2 (水の分解)
電気分解
電気を通して物質を分解すること。
例・・・水の電気分解、塩酸の電気分解、塩化銅の電気分解など
水の電気分解
水に電気を通すと水素と酸素に分解される。
水素が陰極に、酸素が陽極に発生する。発生する体積は水素:酸素=2:1である。純粋な水は電気を通しにくいので少量の水酸化ナトリウムなどを混ぜる。
2H2O→2H2+O2
塩化銅の電気分解
塩化銅水溶液に電気を通すと銅と塩素に分解される。
銅が陰極に塩素が陽極に発生する。電気分解がすすむにつれて塩化銅水溶液の青色がうすくなっていく。
CuCl2→Cu+Cl2
熱分解
物質に熱を加えて分解すること。
例・・・酸化銀の熱分解、炭酸水素ナトリウムの熱分解
炭酸水素ナトリウムの熱分解
炭酸水素ナトリウムを加熱すると炭酸ナトリウムと水と二酸化炭素に分解される。
炭酸水素ナトリウムと炭酸ナトリウムはともに白い粉末だが、炭酸ナトリウムのほうが水に溶けやすく、アルカリ性も強い。
2NaHCO3→Na2CO3+H2O+CO2
酸化銀の熱分解
酸化銀を加熱すると酸素と銀に分解される。
2Ag2O→4Ag+O2
酸化銀は黒色、銀は白色で磨くと光る。
酸化
物質が酸素と化合すること。
激しい酸化を燃焼という。また、金属などがゆっくり酸化することを「さびる」という。
酸化によってできた化合物を酸化物という。
例・・・マグネシウムの酸化(燃焼) 2Mg+O2→2MgO
還元
酸化物から酸素を取り除く化学変化。
酸素と結びつきやすい物質(還元剤)と酸化物をまぜて加熱するなどして、還元剤が酸化することで、酸化物から酸素を奪いとる。
例・・・酸化銅の還元(還元剤が炭素) 2CuO+C→2Cu+CO2
酸化銅の還元
酸化銅から酸素を奪い、銅にする化学変化。
1. 炭素による還元2CuO+C→2Cu+CO2このとき銅より炭素のほうが酸素と結びつきやすいので、酸化銅のOを炭素が奪って酸化し二酸化炭素になり、酸化銅は還元されて銅になる。
2.水素による還元CuO+H2→Cu+H2O 水素が酸化銅のOを奪って酸化し水になり、酸化銅が還元されてどうになる。
酸化物
物質に酸素が結びついた化合物。
例・・・酸化銅CuO、 酸化銀Ag2O、二酸化炭素CO2など
燃焼
熱や光を出す激しい酸化。
鉄と硫黄の化合
鉄粉と硫黄の粉末を混ぜて加熱すると化合して硫化鉄になる。
鉄粉は灰色で、うすい塩酸を加えると水素が発生するが、硫化鉄は黒色でうすい塩酸を加えると腐卵臭のある硫化水素が発生する。
Fe+S→FeS
有機物の燃焼
有機物は炭素を含む物質なので燃焼すると、二酸化炭素が発生する。また多くの有機物は水素も含んでいるので燃焼により水が発生する。
有機物のもつ化学エネルギーは大きいので、燃焼によって熱や光のエネルギーをたくさん取り出すことができる。
質量保存の法則
化学変化では原子の組み合わせは変化するが、化学変化にかかわった原子の数と種類は変わらない。 そのため化学変化に関係している物質全体の質量はかわらない。
密閉しない容器で実験を行った場合、気体が発生するような化学変化では、気体が出て行くのでその分の質量が減る。
酸化では空気中の酸素が結びつくので、その分の質量が増える。
定比例の法則
化学変化に関係する物質の質量比は一定である。
例)マグネシウムの酸化ではマグネシウムと酸素は常に質量比3:2で結びつく。
炭酸水素ナトリウム
化学式NaHCO3 白い粉末。
重曹ともいう。水に少し溶けて弱いアルカリ性を示す。
炭酸ナトリウム
化学式Na2CO3 白い粉末。
水によく溶けて強いアルカリ性を示す。
塩化銅
化学式CuCl2青い固体。
水に溶けると青い水溶液になる。
塩酸
塩化水素(HCl)の水溶液。
強い酸性で、金属を溶かして水素を発生させる。
銅の酸化
銅を加熱すると空気中の酸素と化合して酸化銅ができる。
銅は赤褐色で、酸化銅は黒色である。
2Cu+O2→2CuO
マグネシウムの酸化
空気中でマグネシウムを加熱すると燃焼し、酸化マグネシウムになる。
マグネシウムは灰色、酸化マグネシウムは白色である。
2Mg+O2→2MgO
塩化コバルト紙
水があるかどうかを調べるのに用いる。
はじめは青色で、水に反応して桃色になる。
石灰水
水酸化カルシウムCa(OH)2の水溶液。
二酸化炭素を通すと炭酸カルシウムの白い沈殿を生じる。
酸化銀
銀の酸化物。黒色。加熱すると分解して酸素と銀になる。
硫化鉄
鉄と硫黄の化合物。
黒色。うすい塩酸に反応して硫化水素が発生する。
酸化銅
銅の酸化物。酸化銅は2種類あるが、ふつう酸化銅と言った場合、黒色のCuOをさし、中学校であつかうのもこちらである。
酸化マグネシウム
マグネシウムの酸化物。白色。化学式MgO
ドルトン
19世紀はじめに原子説をとなえたイギリスの科学者。
アボガドロ
19世紀に分子説をとなえたイタリアの科学者。
発熱反応
熱を発生させる化学変化。
反応前の物質より、反応後の物質の化学エネルギーのほうが小さい場合、その差が主に熱エネルギーとして出て行くので発熱反応となる。
たいていの化学変化は発熱反応である。
吸熱反応
熱を吸収する化学変化。
反応前の物質より、反応後の物質の化学エネルギーのほうが大きい場合、外部から吸収した熱エネルギーが反応後の物質の化学エネルギーに変わる。
例)水酸化バリウム+塩化アンモニウム→塩化バリウム+アンモニア+水
化学エネルギー
物質がもともと持っているエネルギーで、化学変化によって取り出すことができる。
燃焼などの発熱反応では化学エネルギーが熱や光のエネルギーとして発生し、吸熱反応では熱エネルギーが物質の化学エネルギーに変わる。