LastUpDate 2023/09/06

仕事とエネルギー

力のはたらき方 物体の運動 仕事とエネルギー

仕事

仕事とは

物体に力を加えてその力の向きに動かしたとき、物体に対して仕事をしたという。仕事の単位はJ(ジュール)
仕事(J)=力(N)×力の向きに動いた距離(m)

重力にさからってする仕事

物体を真上にゆっくり引き上げる場合、物体にかかる重力と同じ大きさの力が必要となる。
質量200gの物体を真上に60cm引き上げる場合、仕事=2(N)×0.6(m)=1.2(J) となる。
重力(2N)引く力(2N)引き上げる60cm

摩擦力にさからってする仕事

摩擦のある面に置かれている物体を水平に移動させる場合、物体と面の間に摩擦力がはたらく。
摩擦力にさからって、一定の速さで物体を動かすときには摩擦力と同じ大きさで反対向きの力を加えることになる。
摩擦力が300Nで2m移動させる場合、仕事は 300(N)×2(m) = 600(J)となる。
物体摩擦力(300N)引く力(300N)2m移動させる

仕事の大きさが0になるとき

仕事の大きさは、力×力の向きに移動した距離 なので「力を加えても物体が移動しない」場合や、「移動の向きに対して力が加わっていないか、垂直に加わる」場合には仕事の大きさは0である。

仕事の原理

同じ仕事をする場合、道具を使っても使わなくても仕事の量は変わらない。

動滑車

物体を真上にxm上昇させるためにはひもを2xm引く必要があるが、ひもを引く力は物体の重さの半分になる。 動滑車

てこ

物体を真上にxm上昇させるためには、点Pを下に x × b a m引く必要がある。そのときの力は物体の重さの a b になる。 てこ a b P

斜面

物体をxm上昇させるには斜面に沿ってym引く必要がある。その時の力は 物体の重さの x y になる。 斜面 斜面 y x

仕事の原理により同じ仕事をする場合、道具を使って力を加える距離を長くすると、必要な力の大きさを小さくすることができる。


仕事率

単位時間にする仕事を仕事率という。単位はW(ワット)
仕事率は仕事の能率の大小を表す。 仕事率(W) = 仕事(J) 仕事にかかった時間(s)
※ 2年電気ででてきた電力(W)は電気による仕事率である。

要点の確認

答表示物体に力を加えてその力の向きに動かしたとき、物体に対して仕事をしたという。 仕事の単位はJ(ジュール)である。 質量300gの物体を真上にゆっくり引き上げる場合、必要な力は3(N)である。 質量400gの物体を真上に50cm引き上げる場合の仕事は2(J)である。 摩擦のある面に置かれている物体を水平に移動させる場合、物体と面の間に摩擦力がはたらく。 摩擦力にさからって、一定の速さで物体を動かすときには摩擦力と同じ大きさで反対向きの力を加えることになる。 摩擦力が50Nで2m移動させる場合の仕事は100(J)である。 力を加えても物体が移動しない場合の仕事の大きさは0である。 移動の向きに対して力が加わっていないか、力が垂直に加わる場合には仕事の大きさは0である。 「同じ仕事をする場合、道具を使った場合と、使わない場合で仕事の量は変わらない。」 ⑩を仕事の原理という。 動滑車を使って物体を真上にxm上昇させるためにはひもを2xm引く必要があるが、ひもを引く力は物体の重さの半分になる。 仕事の原理により同じ仕事をする場合、道具を使って力を加える距離を長くすると、必要な力の大きさを小さくすることができる。 単位時間にする仕事を仕事率という。 仕事率の単位はW(ワット) 仕事率は仕事の能率の大小を表す。 電力は電気による仕事率である。

エネルギー

エネルギーとは

仕事をする能力のことをエネルギーという。仕事と同じくエネルギーの単位もJ(ジュール)である。
ある物体が他の物体に対して仕事ができる状態にある場合、その物体はエネルギーを持っているという。
ある物体に対して仕事をすると、物体の持つエネルギーは増加する。逆に物体が仕事をすると物体の持つエネルギーは減少する。
エネルギーには熱エネルギーや電気エネルギー、化学エネルギーなど様々な種類がある 。

力学的エネルギー

位置エネルギー

高いところにある物体は、落とすことによって下にある物体に対して仕事をすることができる。
つまり、高いところにある物体はエネルギーを持っているといえる。このエネルギーを位置エネルギーという。
くい 高いところから物体を落とすと
下にある「くい」を打ち込める=仕事ができる

位置エネルギーとは
高いところにある物体の持つエネルギーで、高さが高いほど大きく、物体の質量が大きいほど大きくなる。
【位置エネルギーを求める式】
位置エネルギー(J)=重力(N)×高さ(m)

運動エネルギー

運動している物体はぶつかることで他の物体に対して仕事をすることができる。
つまり運動している物体はエネルギーを持っているといえる。このエネルギーを運動エネルギーという。
くい
運動エネルギーとは
運動している物体の持つエネルギーで、物体の速さが大きいほど大きく、物体の質量が大きいほど大きい。
【運動エネルギーを求める式】
運動エネルギー (J)= 1 2 ×質量(kg)×速さ(m/s)×速さ(m/s)

力学的エネルギー保存の法則

高いところから物体を落として、他に対して仕事をしなければ物体は位置を失うかわりに速さを得る。 つまり位置エネルギーが運動エネルギーに変わる。
このとき、摩擦や空気の抵抗がなければ位置エネルギーと運動エネルギーの和は常に一定に保たれる。位置エネルギーと運動エネルギーの和を力学的エネルギーとよび、それが一定に保たれることを力学的エネルギーの保存の法則という。
この位置から自由落下すると はじめは速さ0 高さが低くなり 速さが出る さらに高さが低くなると 速さが速くなる 力学的エネルギー保存の法則 
摩擦や空気の抵抗がない場合、位置エネルギーと運動エネルギーの和は一定に保たれる。


高さ10mの位置から重さ8Nの物体を自由落下させた場合
はじめは高さ10mなので位置エネルギー=10m×8N=80J、速さ0なので運動エネルギー0
よって力学的エネルギー80J
落下によって位置が低くなると位置エネルギーが小さくなり、その分が運動エネルギーに変わる。
高さ6mまで落下したとき、位置エネルギー=6m×8N=48J、運動エネルギー=80J-48J=32J
0mまで落下すると位置エネルギーが0になるので80Jすべてが運動エネルギーとなる。
4m 6m 8m 10m 2m 0m 位置エネルギー 運動エネルギー 重さ8N 80J 0J 48J 32J 0J 80J 80J 80J 80J 力学的エネルギー

力学的エネルギーの保存には摩擦や空気抵抗が無い場合という条件がつく。
摩擦や空気抵抗がある場合は、熱エネルギーや音エネルギーに変わってしまうので力学的エネルギーは保存されない。

要点の確認

答表示仕事をする能力のことをエネルギーという。仕事と同じくエネルギーの単位もJ(ジュール)である。 ある物体が他の物体に対して仕事ができる状態にある場合、その物体はエネルギーを持っているという。 ある物体に対して仕事をすると、物体の持つエネルギーは増加する。逆に物体が仕事をすると物体の持つエネルギーは減少する。 高いところにある物体は、落とすことによって下にある物体に対して仕事をすることができる。 高いところにある物体はエネルギーを持っているといえる。このエネルギーを位置エネルギーという。 位置エネルギーとは高いところにある物体の持つエネルギーで、高さが高いほど大きく、物体の質量が大きいほど大きくなる。 運動している物体はぶつかることで他の物体に対して仕事をすることができる。 運動している物体はエネルギーを持っているといえる。このエネルギーを運動エネルギーという。 運動エネルギーとは運動している物体の持つエネルギーで、物体の速さが大きいほど大きく、物体の質量が大きいほど大きい。 位置エネルギーと運動エネルギーの和を力学的エネルギーとよび、それが一定に保たれることを力学的エネルギーの保存の法則という。 摩擦や空気抵抗がある場合は、熱エネルギー音エネルギーに変わってしまうので力学的エネルギーは保存されない。

エネルギーの移り変わり

エネルギーの種類

エネルギーには運動エネルギーや位置エネルギーの他にもいろいろな種類がある。

電気エネルギー

モーターに電流を流すと物体を動かすことができることから電気は仕事をする能力(エネルギー)を持っているといえる。
これが電気エネルギーである。

化学エネルギー

自動車のエンジンはガソリン(有機物)を燃焼させることによって動いている。
このような化学変化による仕事をする能力(エネルギー)を化学エネルギーという。

熱エネルギー

水を加熱すると水蒸気が発生し、この水蒸気で羽根車(タービン)を回すことができる。
この回転運動を利用すれば物体を動かすことができるので熱は仕事をする能力(エネルギー)をもっている。
これが熱エネルギーである。

光エネルギー

光を光電池に当てると電気が発生しそれによってモーターを回し物体を動かすことができるので、 光は仕事をする能力(エネルギー)を持っている。これを光エネルギーという。

弾性エネルギー

バネを変形させるともとに戻ろうとして物体を動かすことができる。
このような変形した物体のもつエネルギーを弾性エネルギーという。

音エネルギー

音は振動が波となって伝わる現象である。つまり音によって物体を振動させることができることから、音は仕事をする能力(エネルギー)を持っているといえる。
これが音エネルギーである。

核エネルギー

原子核の反応(核分裂など)が起こると非常に大きなエネルギーが発生し、これを利用して水を加熱して水蒸気によってタービンを回すのが原子力発電である。
このエネルギーを核エネルギーという。

エネルギーの変換

エネルギーは装置などを使うことで互いに変換できる。
手回し発電機・・・運動エネルギー⇒電気エネルギー
スピーカー・・・電気エネルギー⇒音エネルギー
太陽電池・・・光エネルギー⇒電気エネルギー
エタノールなどの燃焼・・・化学エネルギー⇒熱エネルギー
電池・・・化学エネルギー⇒電気エネルギー
光合成・・・光エネルギー⇒化学エネルギー

エネルギー保存の法則

力学的エネルギーは、摩擦や空気抵抗のある場合は保存しなかったが、その場合でも発生する熱エネルギーや音エネルギーまで含めるとエネルギーの総和は変化しない。
これは他のどのエネルギーについても同じで、エネルギーの変換前後でその総和は変化しない。これをエネルギー保存の法則という。
エネルギーは様々な形に移り変わるが、その総和は常に一定である。

エネルギー変換効率

エネルギーを変換するときに、もとのエネルギーから目的のエネルギーにすべて変換できるわけではなく、一部は別のエネルギーになってしまう。
ふり子の運動では空気の抵抗や摩擦などにより力学的エネルギーが熱エネルギーなどに変わってしまうのでふりこがもとの高さまでもどらず最終的には止まってしまう。
照明器具では投入した電気エネルギーの大半は熱エネルギーに変わってしまい、光エネルギーとして取り出せるのはごく一部である。
このようにもとのエネルギーから目的のエネルギーに何%変換できるかをエネルギーの変換効率という。

熱の伝わり方

熱の伝わり方には3つある。熱伝導 対流 熱放射である。

熱伝導(伝導)

熱伝導は温度のことなる物体が接しているとき、温度の高い方から低い方へ熱が伝わる現象である。
物体の温度が高い状態とは、物体の分子(原子)の運動エネルギーが大きい状態のことである。
高温の物体の粒子が、それと接している低温の物体の粒子に衝突して、衝突された粒子の運動が激しくなり
温度が上がる。これが熱伝導によって熱が伝わる現象である。

対流

場所によって温度がことなる液体や気体が流動して熱が運ばれる現象が対流である。
液体や気体で場所によって温度がことなると、温度の高い部分は密度が低いので上に移動し、温度が低い部分は下に移動する。

熱放射(放射)

高温の物体が光や赤外線を出して空間をへだてて離れたところまで熱が伝わる現象を熱放射という。
高温の物体は光や赤外線を出している。この光や赤外線はエネルギーを持っているので、それがあたった物体はエネルギーを受け取って温度が上昇する。太陽の光があたると暖かくなるのはこの例である。

要点の確認

答表示モーターに電流を流すと物体を動かすことができることから電気は仕事をする能力(エネルギー)を持っているといえる。これが電気エネルギーである。 自動車のエンジンはガソリン(有機物)を燃焼させることによって動いている。このような化学変化による仕事をする能力(エネルギー)を化学エネルギーという。 水を加熱すると水蒸気が発生し、この水蒸気で羽根車(タービン)を回すことができる。 この回転運動を利用すれば物体を動かすことができるので熱は仕事をする能力(エネルギー)をもっている。 これがエネルギーである。 光を光電池に当てると電気が発生しそれによってモーターを回し物体を動かすことができるので、 光は仕事をする能力(エネルギー)を持っている。これをエネルギーという。 バネを変形させるともとに戻ろうとして物体を動かすことができる。このような変形した物体のもつエネルギーを弾性エネルギーという。 音は振動が波となって伝わる現象である。つまり音によって物体を振動させることができることから、音は仕事をする能力(エネルギー)を持っているといえる。これがエネルギーである。 原子核の反応(核分裂など)が起こると非常に大きなエネルギーが発生し、これを利用して水を加熱して水蒸気によってタービンを回すのが原子力発電である。このエネルギーをエネルギーという。 手回し発電機は運動エネルギーを電気エネルギーに変換する スピーカーは電気エネルギーをエネルギーに変換する 太陽電池はエネルギーを電気エネルギーに変換する エタノールなどの燃焼は化学エネルギーをエネルギーに変換する 電池は化学エネルギーを電気エネルギーに変換する 光合成はエネルギーを化学エネルギーに変換する エネルギーの変換前後でその総和は変化しない。これをエネルギー保存の法則という。 もとのエネルギーから目的のエネルギーに何%変換できるかをエネルギーの変換効率という。 熱伝導は温度のことなる物体が接しているとき、温度の高い方から低い方へ熱が伝わる現象である。 場所によって温度がことなる液体や気体が流動して熱が運ばれる現象が対流である。 高温の物体が光や赤外線を出して空間をへだてて離れたところまで熱が伝わる現象を熱放射という。

「仕事とエネルギー」重要用語

運動エネルギーエネルギーエネルギー変換効率エネルギー保存の法則音エネルギー核エネルギー仕事仕事の大きさが0になるとき仕事の原理仕事率斜面自由落下重力にさからってする仕事対流弾性エネルギーてこ動滑車熱エネルギー熱伝導熱の伝わり方熱放射速さ光エネルギー摩擦力にさからってする仕事力学的エネルギー力学的エネルギー保存の法則


力のはたらき方 物体の運動 仕事とエネルギー

コンテンツ

©2006-2024 習和学院 All Rights Reserved